ネタバレ注意!「ぼくのなつやすみ」都市伝説の正体が明らかに

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PlayStationの名作である「ぼくのなつやすみ」には都市伝説として有名になったバグが存在する。そう、幻の8月32日だ。

これは当初ゲーム系の都市伝説として語られてきたが、実際の画面が明らかになるにつれてホラー系の都市伝説となった。8月32日の画面詳細は後ほど解説するが、確かに見た目は怖い。

しかしこの「ぼくのなつやすみ」のバグが発見されたのは、発売されてからなんと2年後だ。要はそれだけ長く繰り返しプレイする人がいて、初めて発見されたということだ。

実に長い間愛され続けたゲームではないか!この記事ではそんな「ぼくのなつやすみ」の魅力にも触れつつ、ベテランのゲームプログラマーでもある都市伝説記者が「バグの秘密」に迫ろうと思う。

 

そもそも「幻の8月32日」とはどんな都市伝説?

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まず「8月32日」がどんな話なのかを語ろう。「ぼくのなつやすみ」をプレイしている時、ある操作をするとバグが発生して8月31日の次に存在しないはずの8月32日がプレイできるという。

そして、そのプレイ画面が恐ろしいものだというのだ。

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以下に箇条書きでその画面の特徴を述べてみた。

1.キャラクターの顔が消えていく

2.おじさんが上半身だけになり浮遊している

3.おばさんのセリフが怖くなり、やがて支離滅裂になる

4.絵日記の内容が不気味なものに変化している

5.文字化けが発生する

6.家に閉じ込められてしまう

7.やがて誰もいなくなってしまう

8.見えない扉がある

9.音が鳴らない

これは開発者の綾部和氏も語っている。本来は存在しない日付になるとデータ自体もないのですぐにフリーズするか、何も表示されないはずなのに、それでも画面が出てくること自体がすでに都市伝説である。

プレイはそのまま続行することが出来て日付も進んでいくが、表示がどんどんおかしくなってフリーズしてしまう。この進行が止まる日付も34日、36日、39日とバラバラだ。ただしセーブデータが消えてしまうことはない。

ここでまず、セーブデータが消えない理由を解説しよう。PlayStationのメモリーカードはシリアル接続(一方通行でセーブと読み出しの時だけプログラムが動く)なので、上書きできない状態だとメモリーカードには影響がないのだ。

ちなみに任天堂のゲーム機はパラレル接続(双方通行で起動している間は頻繁に読み書きする)で、ゲームがバグるとセーブデータもおかしくなる確率が高いので、起動中にメモリーカードをいじらないように注意してほしい。

 

「ぼくのなつやすみ」は何故ヒットしたのか?

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「ぼくのなつやすみ」はPS1で初代、その後PSP、PS2、PS3、PSPでさらに2本と色々なハードでシリーズ化されている。なぜこのようにシリーズが長く続いているのだろうか?

その秘密は「夏休みが嫌いな人はいない」という点に集約されている。先に書いたように「ぼくのなつやすみ」は大変愛されているゲームで、ファンが多い。

まず夏休みというのは誰にも思い出深いもので、やはり長期間学校に行かずに「堂々と遊べる」というのが子供には物凄く嬉しいことだからだ。その夏休みのシミュレーションというのが、どの世代にもウケる点なのだ。

そして夏休みの後半に差し掛かると、やっぱり物寂しい感じが出てくる。これは意図したものではなく、開発者の綾部和氏が北海道出身で夏休みが短く寂しい思いをしたことが反映されている。

さらに田舎の無い人も妙に懐かしく感じるらしく、「ぼくのなつやすみ」は子供のころを思い出して癒される作品になっているのだ。

 

「ぼくのなつやすみ」にはこんな制作秘話が…

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まず、このゲームの発売当時のターゲットは30代たちだった。開発当初は明確な年代設定はなかったが、開発を進めていくうちにきちんと設定したほうが面白いということになり、「1975年の夏休み」という設定が作られた。

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つまり開発者の綾部和氏が実際に体験した夏休みをモチーフに作られているのだが、北海道の夏休みは他県と比べて一般的ではないらしい。そこで聞き取りによって、さまざまな地方の夏休みの「共通部分」を抽出してエピソードを作っていったという。

実は彼、高校生の夏休みに文化祭で上映した8mmアニメの準備で学校に泊まり込んだ時以来、同じ気持ちで延々と何かを作り続けているとのこと。ご本人も夏休みが8月15672日くらいになっている気持ちだと語っている…

またキャラクターデザインを上田三根子氏に依頼したのも、程よく現実的でない点を買ったという。あまり和風にならず、かと思えばリアル過ぎずどんなストーリーにもマッチする絵柄がポイントらしい。

ちなみにキャラクターの声優は主人公をPS版で演じた7年後、PSP版でアニキ役を演じたという。

「ぼくのなつやすみ」は間口を広くしてよりやり込めるようなゲーム性を志したということで、なるべく多くの人に長く楽しんで欲しいという想いで開発されている。8月32日のバグについても綾部和氏は「ナイスなバグ」と評している。

 

都市伝説記者が推理する「ぼくのなつやすみ」のバグの正体!

先に書いたように都市伝説記者はベテランのプログラマーでもあるので、技術的にこの都市伝説、8月32日の「バグの正体」を推理してみたいと思う。これはゲームプログラムでいう「フラグ」の問題だろう。

ゲームプログラムでは様々な条件で何かのイベントを起こすようなスイッチを作って埋め込んでいく。普通、このスイッチには「フラグ」と呼ばれる発動条件が付いていて初期状態では発動しないようになっている。

ところがこのフラグを付け忘れると、いつでもスイッチが入る状態になってしまうのだ。このバグは、スタンドの紐を引っ張ると翌日に移行できるスイッチである。

だが、紐が表示されている場合のみフラグが立って有効になるはずが、常時有効になってしまった類いのもの。

このスイッチは「絵日記を書いて寝て、翌日に行く」という働きをするので、このバグのせいでいつでも翌日に行けるのだ。ある意味、シナリオに関係なく日付を進められるので「時短バグ」の一種でもあるが、いつでも発動してしまう点が問題だ。

そして、日付はインクリメントという仕組みで自動的に増えていく…これが都市伝説の正体だろう。

 

「8月32日」は何故動く?都市伝説を種明かし

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では本来なら「8月32日」のデータは用意されていないのに、なぜ画面が表示され「プレイし続けることが出来る」のだろうか?それはキャッシュメモリに秘密があるはずだ。

ゲームプログラムでは「シーン管理」といって、次のシーンに必要なデータをあらかじめ用意しておく。つまり、組み上がった画面を入れ替えていくことで場面転換をしている訳だ。

その場面の要素となるデータは「キャッシュメモリ」と言われるメモリに蓄えられている。これは表示を早くするため、高速なメモリにディスクから移したデータを入れておくということだ。

画面構成をする際にこのキャッシュがクリアされなくて残っていると、そのデータは何度でも再利用することが出来る。だからゲームが進行しても、残されたデータから画面を構成することが可能なのだ。

しかし、データはプログラムが進むとクリアされていくものだ。そして最低限のデータが揃わないと、プログラムは「参照すべきデータが無い」としてフリーズしてしまう。このデータがクリアされるタイミングはプレイの状況で変わってくる。

そのため、表示も部分的に崩れてくるし「フリーズする日付もバラバラなものになるわけだ。「ぼくのなつやすみ」の都市伝説をゲームプログラムから見ると、以上のようになる。これが正しいとは言い切れないが、おそらく当たっているかと思う。

「ぼくのなつやすみ」は子供さんから熟年世代まで楽しめるゲームだ。あなたもプレイする機会があったら、是非癒されてほしい。ただし8月32日のような都市伝説があるのは「初代版」だけだ。

もし他のバージョンでも都市伝説バグを発見出来たなら、それこそ自慢できるだろう。

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