批判殺到!!「るろうに剣心」の最終回、星霜編がヤバかった…

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少年ジャンプの連載の中では珍しい時代劇漫画だった「るろうに剣心」。その漫画版の最終回は、1999年の第43号に掲載された。

これはアニメ版の最終回のおよそ1年後である。ところが、作者には新展開の構想があったのだ。

さらにアニメ版でも実際に2つの最終回があり、またあまりの人気にOVA(オリジナルビデオアニメ)で続編2編が作られたため、どれが本当の最終回なのか分かりづらくなってしまった。

この記事ではるろうに剣心の「最終回」についてそれぞれ解説しながら、この辺りの事情をスッキリさせたいと思う。

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本来の最終回は「人誅編」!るろうに剣心と逆刃刀の行方

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作者の和月伸宏先生の構想では、るろうに剣心は以下の全4編になるはずだった。

・東京編 

・京都編 

・人誅編

・北海道編

では、これらの「あらすじ」を簡単に説明しよう(北海道編のみ後述)。

 

東京編

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まず東京編は東京に出てきた「人斬り抜刀斎」こと、緋村剣心を主人公に「るろうに=流浪人」となった経緯から明治新政府との関係までを中心に展開する物語だ。

明治維新の人斬り達が新しい時代になじめず、滅んでいく様子を中心に展開されている。作者は「サムライスピリッツ」というゲームが大好きで、架空の剣豪たちが秘術を尽くして闘う話を描きたかったという。

るろうに剣心の東京編だが、実際はその通りに実在した斎藤一などの剣豪は少なく、架空の剣豪たちが様々な流派やオリジナルの武器を駆使してチャンバラをするアクション漫画であった。

実在する「二階堂流平法」の「心の一法」という秘儀が心臓までも止める技として描かれるなど、デフォルメも多かったが、チャンバラとしては面白かった。

 

京都編

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続く京都編は「るろうに剣心」が京都の人斬りだった頃の因縁話が描かれている。

人斬り抜刀斎が役を退いた後に人斬りとなった「志々雄真実」がその処遇(邪魔になったので焼き殺されたが生き延びた)を恨み、明治新政府に対して武力で反乱を起こす物語である。

明治新政府で警官となった斎藤一や、るろうに剣心と和解した御庭番衆らと協力して志々雄一派と戦うオールスターキャストの魅力にあふれたチャンバラ話だ。

この京都編では、逆刃刀の由来や新たなカラクリ等がどんどん登場して観るものを興奮させた。

また志々雄の持論である「善悪は区別が付け難い」という展開を初め、単に力自慢のキャラであった左之助が「二重の極み」を覚える過程で人間的にも成長する様子が描かれるなど…ストーリーテラーとしても成長した作者の様子が分かる物語でもあった。

 

人誅編

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そして最後の「人誅編」。こちらの主題は、天誅ではなく人が下す罰としての「人誅」である。

るろうに剣心の義弟である「雪代縁」がるろうにとなった剣心に加えようとする復讐の物語で、やや陰惨な面もある展開となった。縁の姉である雪代巴は複雑な事情からか、人斬り抜刀斎と一緒になる。

この辺りを整理しないと人誅編は理解できないので…以下に簡単な人間関係を記しておいた。

まず、京都見廻組(幕末に旗本・御家人で構成された新選組のライバル)の清里明良という人物と雪代巴は婚約していた。だが清里明良は巴との祝言の1ヶ月前、剣心に切られて命を落としてしまう。

彼の腕前は大したことは無かったが、一方で生き残りたいという執念が大きく、彼の恨みのこもった1刀が剣心の頬に傷を付けたのだ(十字傷の片方)。そんな経緯があって、巴は仇討ちのために京都見廻組の密偵となり剣心に近づいた。

しかし、結果的には剣心の人柄に魅かれて夫婦になったのだ。

ここに「闇乃武」という西の御庭番衆のような暗殺集団が登場し、巴を人質に剣心を殺そうとする。だが巴は剣心を守るため、身を投げ出して切られてしまう。

その時に巴の持っていた家伝の懐刀が剣心の頬に傷をつけ、おなじみの十字傷となった。これで縁が剣心を逆恨みする理由が出来たわけだ。

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そして、復讐心を抱えて上海に渡った縁は倭刀術を身に付け、武器製造の知識を駆使して闇社会の頂点へと上り詰めて剣心に人誅を開始するのだ。

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ここで脇道に逸れるが、筆者の周辺にも「るろうに剣心の倭刀術って何?」という人が多いので簡単に解説しておこう。

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これは架空の武術になるが、素になった武術は存在している。倭刀とは日本刀(打刀ではなく太刀)の模造品のことで、「倭寇」(日本人、もしくは日本人に扮した中国人による海賊)によって中国に知れ渡った。

中国の武将が戦利品として「影流目録」(流派の型を書いた書物)を入手し、それを研究して武術へと昇華させたのだ。元になったのは「陰流」と思われる。これは愛洲移香斎という人がその剣術で猿の動きを模した軽快な動きを特徴とする。

様々な分派を生み、有名な柳生新陰流もこの流派の派生系に入る。日本刀の兵器としての優秀さとその独特の刀法で大きな威力を発揮したと言われている。

ちなみに倭刀は、劈掛掌(ひかしょう)という拳法と同時に覚えるものとされている。そして、劈掛掌は有名な八極拳と併修される形で知られるようになったのだ。

…この辺りの知識があると人誅編もさらに楽しめることだろう。人誅編の最後では、剣心は悟りを開いてなんとか縁を打ち破ったものの、かなりの苦戦を強いられた。

それは人斬り時代の罪が影響しており、彼が「るろうに」となったのも「過去を忘れたい」という理由からだ。

最後まで「不殺」を貫いた剣心は最終回で自身の武器である逆刃刀を弥彦に譲り、剣客を引退している。

「るろうに剣心」というタイトルにふさわしく、剣心は薫と結婚して子宝に恵まれ「市井の一市民」になったというのが作者の終わらせ方であった。逆刃刀といえど刃は付いている。いざとなったら斬るというのが根底にある。

しかしそれを譲ることによって、平凡な一市民になるという展開に不満を持ったファンも多かったという。ただし、これが作者による正式な最終回であることに変わりはないのだ。

 

るろうに剣心、連載再開の予定はある?幻の「北海道編」とは

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では、その前に描くつもりだったるろうに剣心の「北海道編」とはどのような話なのか?

 

北海道編

まず京都編では、志々雄一派の瀬田宗次郎が北海道に向かっている。

北海道は明治時代に開拓された地で、明治維新の時には「蝦夷共和国」として独立を画策する動きもあった。

つまり新しい話を展開するのには最適な地で、作者は当初、宗次郎を剣心たちの仲間に加える計画だったと明かしている。

北海道に入植した開拓者や屯田兵(開拓のため、政府に組織された兵隊)を西部劇の開拓者に見立て、明治維新の敗残兵や本州から逃げてきた犯罪者をアウトローとして西部劇のようなチャンバラをやるつもりだったようだ。

さらに新選組の永倉新八(小樽に移住したのち、刑務所の剣術師範を務めた)や、刑務所に収監されている明王の安慈を登場させる予定だったとも聞いている。

剣心の贖罪は終わってしまったが、安慈は救われておらず伏線が回収できていなかったこと、そして西部劇をやってみたかったことなどから北海道編は計画されていた。

そんな構想もあったようだが、作者が人誅編で剣心の終わりを悟ってしまったために急遽中止したという。結局、西部劇は2001年からの連載「GUN BLAZE WEST」となって別の形で実現された。

そして気になる「るろうに剣心」の連載再開についてだが…作者は現状考えていないと語っている。心の中で剣心が平穏な生活を送っているので「もう無理」ということだ。

そんな経緯から、北海道編は「幻の最終編」とも呼ばれている。

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るろうに剣心、アニメ版の最終回は「2つ」あった?

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アニメ版の最終回。それは1998年9月放送の「第94話」になる。

そしてこれは異例だが、アニメ版の方が漫画より先に最終回を迎えてしまった。普通であれば「第〇期」ということで漫画の進行を待ってアニメも再開されるものだが…

人気作品であったが故にアニメ側で原作の進行を待たず、なんと小説版である「風水編」のストーリーを基に作られるという経緯を辿っていたのだ。

この最終回の時点でも人誅編が終わっていなかったため、結局アニメ版もいったん打ち切りという形を取っている。

ちなみに、アニメ版の最終回で剣心が繰り出す最後の技は大技の「天翔龍閃」ではなく、地味な「土龍閃」。そういう意味でも少しガッカリな最終回だったかもしれない。

こちらは結構な不評で、関係者の間ですら批判の声が多かったようだ。その結果、95話は放送せずに終了となったのだ。

では、そんな第95話の内容はというと…

流浪の最果て・緋と瑠璃の絆は潮騒の中に」というタイトルで、斬り合いのシーンも無く剣心たちの淡々とした描写だけで締め括られている。

この回は2002年に発売されたDVDの中にも収録されていて、現在でも視聴可能だ。まあ結論としては、アニメ版の最終回は第94・95話のどちらも不評だったということだ。

 

何故こうなった?るろうに剣心の続編、「星霜編」が切なすぎる!!

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そこでテレビ版の後を受けて制作されたのが、OVAの「追憶編」と「星霜編」。

追憶編は人斬り抜刀斎時代の剣心の話であり、ファンの評価も上々。その反面、星霜編は10数年後の剣心たちを描いた話になるが…その悲惨な内容から「何かいわくつきな事情すら感じてしまう」と巷で話題になっているのだ。

そんな星霜編の「あらすじ」はこうだ。

山形有朋の依頼で日清戦争に参加するために出征した剣心だが、途中事故にあって中国の海岸に流れ着いた。そこで馬賊となっていた左之助に助けられ、上海から帰ってくる。

剣心の息子「剣路」はるろうにの父親に絶望し、比古清十郎に弟子入りするために京都へ向かった。そこで弥彦は剣路を諭すために試合で叩きのめした後、逆刃刀を渡す。ここで剣路は改心して東京へ戻るのだ。

薫は患っている不治の病と戦う中で、毎日剣心を迎えに港へ通う。実は剣心も、薫と同じ不治の病で死にかかっているという絶望的な設定だ。

そんな状況にも関わらず、薫は剣心を迎えに旅をして途中で巡り逢う。最期は2人で一緒に眠りにつくが…なんとこの時、剣心の頬の傷は消えていた。

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かなり駆け足で紹介したが…ざっとこんな感じである。なんとも暗い鬱々とした内容で、まさに救いの無い構成になっている。

またこの話し。作者側は了承していたようだが、実はストーリー制作には関わっていないのだ。よってほとんどアニメ制作側のオリジナル作であり、本来の「るろうに剣心」とは言い難いだろう。

しかし、るろうに剣心の中では時代的に1番後のストーリーになるため、順番的にはこちらが「最終回」となる。このことに関してもファンからは批判があり「これを最終回とは認めない!」という意見が実に多いのが現状だ。

さらに都市伝説的に言えば、剣心と薫の不治の病は「梅毒」ではないかという噂もあり、これも批判的な意見に拍車をかけている。

結局るろうに剣心の「星霜編」はファンの間では「全く別のストーリー」、要するに2次創作的な扱いを受けているのだ。確かにこれを最終回とは認めづらいだろう。

それにしても、なぜこんなに暗く程遠い話になったのだろう?もしくは何かのフラグとか?

実は時を同じくして、脚本の吉田玲子氏は脚本担当として「ハウルの動く城」の細田守チームにいたのだ。ご存知の方もいるかもしれないが、細田守監督とスタジオジブリの間にはあるトラブルがあり、チームは解散させられている。

これは憶測に過ぎないが…うがった見方をすれば、その際の鬱々とした気持ちを「るろうに剣心」にぶつけたのではないかとも考えられるのだ。

 

るろうに剣心に「最終回」はあるのか?

結局、再開しようと思えばいつでもできる形で本編は終わりを迎えている。

また星霜編を「別世界の出来事」とすればどのような最終回も可能になるわけだ。

作者はもう書く気が無いと宣言しているが、またいつ気が変わるかも分からない。

そう考えると、るろうに剣心の「本当の最終回」はまだ描かれていないのかもしれない。

多分、そのうち誰もが納得する形の最終回が現れることをファンの1人として心待ちにしたい。

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