ゲーム開発者が明かした、スマブラにバグや裏技が多い理由

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大人気の任天堂ゲームのスマブラだが、このゲームは「裏技」が大変多いことでも知られている。

ところで、そもそも裏技とはいったいどういうものだろうか?

これは大きく分けると3つに分類される。まず一つ目の裏技はプログラムの「バグ」によるもの。

これは本当の裏技で作った側もそういうことになるとは思っていない動作を指す。

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二つ目の裏技はプログラムとして仕込まれているのだが、普通のユーザが呼び出すとは思えないコマンドを入れると発生するもの。

いわゆるコナミコマンド(十字キーを上上下下左右左右BAの順で押す…)のように、制作側が検証のために入れておくコマンドを入れるわけだ。

最後がゲームの人気を長続きさせるために情報公開して入力させる裏技だ。

これは最初からユーザーに使わせるために仕込んでおいた隠れキャラ等を、特定のコマンドを入力することによってゲーム内に登場させるものだ。

スマブラにはどの系統の裏技も豊富にあるので、裏技の多いゲームとして知られているわけだ。

この記事ではたくさんあるスマブラの裏技を個別に解説するのではなく、(アップデートで使えない技も多く解説に向かないため)そもそも「裏技が何故できてしまうのか?」という理由を説明したいと思う。

 

スマブラの「バグ」による裏技は何故発生するのか?

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これこそスマブラの裏技が山のように存在する根源的な理由だと思う。

スマブラにはバグが多い!一体どうしてか?」

意外と簡単な理由がある。それは、スマブラはハードをけん引する役割のゲームソフトだからだ。

つまり、あまりゲームハードが普及していない時期あるいは普及が思うようにいかない時期に投入されるタイトルだからだ。

ゲームというのはPC用やスマホ用以外では専用のハードがある。

プログラムというのはハードごとに分けて書く必要があるので、専用ハードということになるとそれ向けの書き方があって一般的なプログラムとはかなり異なる。

またゲームハードにはそれぞれ独自の機能があって、それに最適化した書き方をしないとゲームが動かなくなる。

そのため、それぞれのゲームハードに対してプログラマが適応できるように特別な機能を使う場合の中間的なプログラムが用意される。

それを「開発キット(SDK)」と呼ぶ。プログラマはそれぞれのハード専用の開発キットを渡されて、その中の命令をプログラムで呼び出すことでゲーム開発をする。

当然、この開発キットにもバグはある。これが長年使っているうちにほぼバグが修正されて安定した開発キットになる。

使い方もだんだん決まってきて、ほぼ問題がなくなるのには数年かかる。

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ところがスマブラは、この開発キット自体が安定しないうちにゲーム開発をすることを義務付けられたゲームソフトだ。

そのためゲームを作っている間も絶えずバグと闘わなければならない。特に3DS版は歴代1位くらいにバグの数が多い。

これは3DSのハードとしての特性のためだ。3DSにはご存知のように「裸眼立体視」という機能がある。

眼鏡なしでも3Dのように見える機能だ。これが3DS向けのゲームを開発する際にとんでもなく邪魔になる。

任天堂が開発会社に出す条件は「3D機能を切っても3Dゲームと同じように遊べる事」なのだ。

少し考えればわかるが、完ぺきにこれを実装するのは不可能だ。

そこで3Dで動くし視点変更なども自然に自動で行うことを目標にゲームを開発する。

結果として、3Dのキャラクターモデルの操作や読み込みに無理が生じることになる。

これでバグが発生するのだ。3DSのバグによる裏技は必殺技攻撃時のものが多い。

これは、Bボタンと方向キーを押すことで必殺技を出すというアクションがバグを生み出しやすいことによる。

またヒットポイント関係のバグも多い。これはここでプログラムが分岐するために、バグが発生しやすいからだ。

バグの発見法はこれで分かったと思う。「必殺技の入力」「視点が切り替わるポイント」「ヒットポイントがゼロになるとき」などがバグの発生ポイントだ。

 

裏技というより「隠しコマンド」?

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スマブラは格ゲーなのに最低限のルールしかない。それは「ステージの選択は自由」「制限時間制(普通2分、初代は3分)」「アイテムは何を使用しても良い」というものだ。

しかし、これはよく考えると凄いことなのだ。普通の格ゲーでは「ステージはストーリーやキャラの付属物」「ヒットポイント制」「アイテム仕様には条件がある」というのがルールだ。

普通の格ゲーのルールではパターンは限られており、それぞれのステージや戦い方の検証は難しくない。

ステージの最初の条件さえ設定できるように作っておけば、デバッグ(バグを取るための検証)は簡単に行えるようになっている。むしろデバッグの成否はデバッガーのゲームの腕前にかかっている。

ところがスマブラでは、前述したように自由度が大変高い。

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そのため、あらゆる場合の条件を再現できるように細かく設定をいじれるようにしておけなければならない(そのためキー・コンフィグ等のカスタマイズ設定は貧弱)ので、隠しコマンドも数々作られることになる。

またスマブラの独自機能「アピール」も隠しコマンドが必要な機能だ。初代とDXはアピールで加点するという仕様だったが、現在では対戦時の挑発やネタとしての意味しかない。

しかしスマブラのユーザが楽しみにしているので外すことはできない機能だ。

このようにスマブラには検証のために再現用に入れておかなければならない隠しコマンドが多く、それが発見されてしまうことは仕方が無いことなのだろう。

 

これは「裏技」ではなく「表技」

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隠しコマンドというより「隠れキャラ」や「隠しアイテム」であったりする。

いきなりゲームビジネスの話になるのだが、パッケージゲーム(売り切りの箱に入ったゲーム)ではリセール対策、つまり中古として売られないようにするために色々なことを考える必要がある。

一番簡単な方法は「ゲームを繰り返し遊ぶと良いことがある」という仕組みを作ることだ。

そしてスマブラの隠れキャラの出し方として一番多いのがこのパターンなのだ。大抵は「ノーコンティニュークリア」「○○回以上対戦する」等が条件となる。

つまりやり込んでいくと隠れキャラが出てくるという仕組みだ。これはゲームを長く遊んでもらうためには王道の方法である。

当然この方法のポイントは「隠れキャラがいること」「その出し方」を皆に知ってもらうことだ。そのため、以前ならゲーム専門誌で記事にしてもらうなどの方法を取った。

現在ではネットを使って記事にしてもらうことによってスマブラユーザーに知ってもらうようになった。ネット時代の方がこういった情報は遥かに流通しやすいのだ。

スマブラには確かに裏技が多い。

しかし、スマブラユーザーの多くは裏技を発見することを楽しみにしているし、勝ち負けに関係ない裏技でもネタとして使ったりする。スマブラはバグによる裏技さえ面白さに変えてしまうゲームなのだ。

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